噛み合わせ
顎関節症とは
顎関節症とは、口を開けると痛む・口が開かない・顎をうごかすと音がする、といった症状がでるあごの疾患です。
当院では顎咬合学会の認定医による総合的な噛みあわせ治療を行うことができます。
ご不明な点等ございましたらお気軽にお問合せください。
顎関節症の定義
顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名で、その病態には咀嚼筋障害、関節包、靭帯障害、関節円盤障害、変形性関節症が含まれます。
一種の現代病といってもいいかもわかりません。異常な咬み合せが、顎の関節(耳の2cmほど前)に障害を起こします。色々な症状がありますが、軽い症状でも放置しておくと、ある朝起きたら突然口が1cmほどしか開かなくなっていたというようなこともよくあります。
- 口を大きく開けると「コリッ」という音がする。
- 耳の辺りがなんとなく重い感じがする。
- 口を大きく開けると関節が痛い。
- グッと噛みしめると関節が痛い。
- 口を大きく開けられない。
- 朝起きると口が開かなくなっていたことがある。
- 顎がよくはずれそうになる。
- 関節が突っ張ったかんじで、口の開閉がスムーズにいかない。
- 左右の関節の動きがずれている。
顎関節症の症状
- あごが痛む。
- 口が大きく開けられない(開口障害)正常な人は縦に指三本分入る(40~50ミリ)が指が二本程度(30ミリ)もしくはそれ以下。
- あごを動かすと音が鳴る(関節雑音)。
- 口を完全に閉じることができない。
その他の症状:頭痛、首や肩、背中の痛み、腰痛、肩こりなどの全身に及ぶ痛み顎関節部やその周辺の痛み。
顎関節症の有病率
男:女=1:5
- 女性は男性よりも関節がやわらかい
- 女性は感受性が高い
- 女性は治療への要望が強い
- 女性ホルモンの影響
顎関節症の原因
- ブラキシズム(はぎしり)
- ストレス
- 偏咀嚼(片側だけで食べる)
- 悪い噛み合わせ
- あごや筋肉に負担をかける癖や習慣(ほおづえ、うつ伏せで寝る)
慢性的な肩こり、
首の痛みはありませんか?
噛み合わせが悪くなると、頭部のバランスの崩れを支えるために僧帽筋などの筋肉に負担がかかり、常に緊張した状態になります。それが肩こりにつながるのです。噛み合わせによっては頚椎(けいつい)がずれてしまう場合もます。
さまざまな不定愁訴の中でも、特に肩こりはわずかな顎のずれによって症状がでてしまう病気です。ですがその分比較的容易に症状を改善・消失させることができます。
正常な状態とは?
正確な検査により、異常な咬み合せがあるかどうかを確認する。異常な咬み合せがなければ、歯科医院で治療できる顎関節症ではありません。異常を考える前に、正常な咬み合せとはどういうものかを考えてみます。下に示した3つの原則を満たしていることが正常な咬み合せといえます。
筒井塾顎模型より
下顎の上端(関節頭といいます)と上顎の骨のくぼみの間には、関節円盤という軟骨があります。この関節円盤はいろいろな方向に、種々の筋肉で固定されていますが、関節の動きとともに下顎頭に連動して移動します。
咬み合せの異常や外傷などにより障害が起こると、関節円盤を固定している筋肉に緊張が起こり、関節円盤が関節頭の動きとうまく連動できなくなります。そして、関節円盤がいわゆる「つっかえる」状態となり、痛みや口が開きにくいという症状がでるのです。
顎関節症の治療法
- 運動療法
開口や顎を動かす訓練をして口がよく開くようにします。
- 薬物療法
痛みが強い場合に薬で炎症を鎮めたり、筋肉が痛みで固まっている場合に筋弛緩剤を用いたりします。
- スプリント療法
スプリントを装着することで顎関節や筋肉への負担を軽くして歯軋りや食いしばりの害を緩和します。
- 咬合再建
スプリント治療を行った後に噛み合わせを調整します。
- 外科療法
症状の改善されない場合は外科療法が行われる場合があります。関節内に強い炎症がある場合に針をさして関節内部の物質を洗い流す「関節腔内洗浄療法」関節内で関節円盤と骨の癒着がある場合にそれをはがす「関節鏡視下手術」などがあります。手術の必要な方は0.5%くらいの割合です。
STEP1.診断
顎関節症であるかどうか、噛み合わせに異常があるかどうかを触診やレントゲンなどによって検査します。検査の結果顎関節症であれば、治療の方針などを判断します。
STEP2.位置の決定
治療の方針に従い、治療計画を立てます。具体的な治療法としては、咬合器(顎運動や咬合のさまざまな位置を再現する装置)を使用し、顎の正しい位置を決定します。
STEP3.治療
顎周囲の筋肉が原因であれば、適切な顎関節の位置に咬み合わせを誘導していくように咬合調整をしていきます。その後、歯軋りなどの癖がある方には、スプリントを夜間のみ装着していただきます。
顎関節、関節円盤自体が原因の場合には、まず関節円盤の位置を確定させるためにスプリントをできるだけ長く装着していただき、その位置が決まった時点で咬 合調整を行います。
この場合の治療期間は症状によって大きく異なります。数ヶ月で終わることもあれば、1年以上かかる方もいらっしゃいます。
当院で使用しているスプリント
臼歯部がフラットになっているスタビリゼーションタイプのスプリントを使用します。
顎関節症のタイプ
- 筋肉の障害によって起こるタイプ(Ⅰ型)
- 関節包、靭帯の障害によって起こるタイプ(Ⅱ型)
- 関節円盤の障害によって起こるタイプ(Ⅲ型)
- 変形性関節症によって起こるタイプ(Ⅳ型)
タイプⅠ型
筋肉の障害によって起こる
咀嚼筋(側頭筋・咬筋・外側翼突筋・内側翼突筋)の障害によるもので頰やこめかみのあたりが痛みます。
筋肉の緊張や筋炎が原因。頭部、首、肩など離れたところに関節痛が起こります。
タイプⅡ型
関節包・靭帯の障害によって起こる
顎関節の関節包や靭帯などの繊維組織に力が加わって捻挫を起こしたようになり痛みを生じます。あごを動かすと顎関節部が痛み、雑音がします。
関節包 |
骨膜のつづきで関節腔を完全に包んでおり、滑膜の内面からぬるぬるとした糸をひくような滑液が分泌され、摩擦を軽減します。 |
靭帯 |
骨と骨、筋肉と骨をつないでいる丈夫な繊維性の組織。 |
タイプⅢ型
関節円盤の障害によって起こる
円盤の形態、位置の異常と顎運動時の動態協調性などの異常のほか、円盤の組織の異常、関節雑音がはっきり聞こえるけれど筋痛はなく、痛みは弱いのが特徴です。
Ⅲ型−A |
関節円盤の復位(もとの位に戻る)を伴う転位。関節雑音が主体。口の開け閉めで関節円盤がずれて音がなります。 |
Ⅲ型−B |
関節円盤の復位を伴わない転位。開口障害が主体。口を開け閉めしてもひっかかりが戻らない為に口が開きません。 |
タイプⅣ型
変形性関節症よって起こる
関節軟骨の破壊下顎窩や下顎頭の骨吸収や変性・添加、関節円盤や滑膜の変形異常などによるもの、重度の症状。レントゲン写真にも異常が現れます。
Ⅳ型とⅢ型とは何らかの関係があると考えられています。円盤障害では多くの場合、顎運動の円滑性欠くことになるので、下顎頭軟骨層に器械的刺激を与える環境をつくると思われます。このことから、Ⅲ型とⅣ型は経過が進むにつれて合併または相互に移行することがあります。
噛み合わせ治療の症例集
症例1
分類 |
Ⅰ型+Ⅲ型−A |
主訴 |
あごが痛くて肩こりもひどい カクカク音が鳴る。 |
治療 |
スプリント装着の後、咬合調整 上顎仮歯に変える。 |
治療前
治療後
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